ナレッジマネジメントとは
その上でグループウェアは「集団の中で発生する個人の作業を効率的に行うための機能」であり、ナレッジマネジメントを実現ツールにはなりえていないと考えている。
では、ナレッジマネジメントとはいったいどのようなものであるのか?
ナレッジマネジメントとは
まずはwikipediaの内容を引用したい。
ナレッジマネジメント(英語: knowledge management)とは、企業経営における管理領域のひとつ。生産管理、販売管理(マーケティング)、財務管理、人的資源管理、情報管理に続く第6の管理領域。個人のもつ暗黙知を形式知に変換することにより、知識の共有化、明確化を図り、作業の効率化や新発見を容易にしようとする企業マネジメント上の手法。組織によって創造される知識は集合知と呼ばれ、そのマネジメント手法に注目が集まっている。
恐らくここで強調されているのは「個人のもつ暗黙知を形式知に変換すること」だろう。ナレッジマネジメントはイコール「情報共有」として語られることも多く、「情報共有」は「暗黙知を形式知に変換する」ことと捉えられている。具体的には、マニュアルを整備したり、意思決定のプロセスとその情報を明確に文書化し共有すること、などである。
しかしながらこのブログで取り上げるナレッジマネジメントは、野中郁次郎氏の「知識創造企業」を参考にし、単なる「暗黙知→形式知」だけではなく「暗黙知→形式知」及びそのサイクルとして解説していきたい。このサイクルは「知識創造企業」の中で「SCEIモデル(セキモデル)」として提唱されている。
SECIモデルとは
改めてwikipediaを引用すると
「個人の知識を組織的に共有し、より高次の知識を生み出す」ということを主眼に置いたナレッジマネジメントを実現する場合、そのフレームワークとして以下の4段階のプロセスが提示されている。このプロセスは、各段階の英語名称の頭文字をとって“SECI(セキ)プロセス”、あるいは単に“SECI(セキ)”と呼ばれる。これは野中郁次郎(一橋大学 名誉教授)と竹内弘高(ハーバード大学ビジネススクール 教授、一橋大学 名誉教授)が執筆したThe Knowledge Creating Company(『知識創造企業』梅本勝博訳、東洋経済新報社)において、提唱された。 知識とは「正当化された真なる信念 (Justified true belief)」であり、個人と個人の相互作用、あるいは組織と組織の相互作用により、ダイナミックに変化・深化・進化していくものであるという考えの下に構築されている。- 結合化(Combination)とは、洗い出された形式知を組み合わせ、それを基に新たな知識を創造することである。- 内面化(Internalization)とは、新たに創造された知識を組織に広め、新たな暗黙知として習得することである。とある。
SECI(Socialization, Externalization, Combination, Internalization)という4つのプロセスについては今後このブログで一つ一つ詳細に解説していきたいと考えているが、まずはこの4つのプロセスが前回の「フロー/ストック」「集団/個人」という軸にマッピングするとどのようになるかを示したい。
SECIモデルの4つのプロセスは基本的に個人ではなく集団(青い斜線部分)で実施されるものである。 その上で、比較的集団で実施するプロセス(S,E)を上側、個人で実施するプロセス(C、I)を下側に記載し、SECIモデルのサイクルを表現した。
一般的に言われる情報共有作業である「マニュアル作成」や「議事録共有」は、S→Eのプロセスとしてみることができる。(「マニュアルはストックでは?」という疑問があるかもしれないが、共同化と内面化を経てようやくナレッジが”ストック”になるとイメージしてほしい。)
このようにSECIモデルが提唱される前は、「ナレッジは熟達者から、形式知であるマニュアルを経て、未熟者に伝達される」という”一方通行の情報共有モデル”が一般的であった。しかしこのSECIモデルでは、熟達者との共同化を経て、ノウハウが形式知として表出化し、その形式知が集まって結合化し新しい知が創造され、さらにそれを個人に内面化するというサイクルを提唱したことが非常に画期的であるといえる。
次回以降は、4つのプロセスについてひとつづつ、具体的な事例を含めて紹介していきたい。