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The Power of Knowledge Sharing

情報共有やナレッジマネジメントについてのブログ

SECIモデルについて

前回ナレッジマネジメントの概要を開設したが、今回からは野中郁次郎氏の書籍「知識創造企業」の中で提唱している、SECIモデルの4つのプロセスに沿って解説をしたいと思う。

SECIモデル 4つのプロセス

改めてwikipediaを引用する
 

「個人の知識を組織的に共有し、より高次の知識を生み出す」ということを主眼に置いたナレッジマネジメントを実現する場合、そのフレームワークとして以下の4段階のプロセスが提示されている。このプロセスは、各段階の英語名称の頭文字をとって“SECI(セキ)プロセス”、あるいは単に“SECI(セキ)”と呼ばれる。これは野中郁次郎一橋大学 名誉教授)と竹内弘高(ハーバード大学ビジネススクール 教授、一橋大学 名誉教授)が執筆したThe Knowledge Creating Company(『知識創造企業』梅本勝博訳、東洋経済新報社)において、提唱された。 知識とは「正当化された真なる信念 (Justified true belief)」であり、個人と個人の相互作用、あるいは組織と組織の相互作用により、ダイナミックに変化・深化・進化していくものであるという考えの下に構築されている。

  • 共同化(Socialization)とは、組織内の個人、または小グループでの暗黙知共有、およびそれを基にした新たな暗黙知の創造である。
  • 表出化(Externalization)とは、各個人、小グループが有する暗黙知形式知として洗い出すこと。
  • 結合化(Combination)とは、洗い出された形式知を組み合わせ、それを基に新たな知識を創造することである。
  • 内面化(Internalization)とは、新たに創造された知識を組織に広め、新たな暗黙知として習得することである。

とある。

前回と繰り返しになるがこのSECIモデルは「熟達者との共同化を経て、ノウハウ形式知として表出化し、その形式知が集まって結合化し新しい知が創造され、さらにそれを個人に内面化するというサイクル」としてモデル化したことが画期的である。

 
それまで情報共有とは、「熟達者から未熟者への知識の伝承」という一方通行のモデルであった。しかしSECIモデルでは集団の中で扱われる知に注目し、その知が組み合わさって新しい知が生まれること(=結合化)を定義した。個人的にはこの結合化(=Combination)がナレッジマネジメントの最大のポイントであると認識している。
この結合化は単なるマニュアル集でもなければ、壮大なHowTo一覧でもない。「集団が知を寄せ集まったからこそ実現できる、新しい知を生み出すプロセス」である。詳しくは「結合化」の時に解説したいと思う。

SECIモデルの現状

ナレッジマネジメントにおけるSECIモデルの4つのプロセスは、全く新しい事ではなく身の回りに常に起きている事である。それらのプロセスを意識的にかつ効率的に実施しいかに新しい知を生み出すか?が重要なポイントである。
いくつかのサービスや手法を例にそのアプローチを探ってみよう。

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グループウェアのアプローチ

グループウェアは「集団の中で発生する個人の作業を効率的に行うためのツール集合体」であるのでSECIモデルの4つのプロセスは担っていないが、「個人の暗黙知形式知にして共有する」という意味で「表出化」を実現していると言える。「表出化」とは個人が持っている暗黙知形式知として出力することであり、具体的には「ファイル共有」機能で作業マニュアル等を関係者で共有したり、「電子掲示板」機能で仕事のコツやマニュアル化できないノウハウなどを共有することなどである。
 

Evernoteのアプローチ

Evernoteは「Remenber Everything」というコンセプトの元に、「表出化」に徹底的にこだわったツールである。PC、スマホなどあらゆるデバイスからあらゆる形式のデータを取り込んで保存しておくことができる。また「結合化」を部分的にサポートするタグ付け機能やコンテキスト機能なども搭載されている。しかしながら「個人のツール」としては非常に優れているが、「集団のツール」として活用するのは使う側のスキルが要求される。
 

Googleのアプローチ

Googleのアプローチは「検索」によって必要なナレッジに素早く・簡単にアクセスすることである。これはナレッジを結合する「結合化」のプロセスを飛び越えているイメージである。世界中のあらゆるナレッジをつなげ、重要度・関連度から必要なナレッジを見つける仕組みは最も「結合化」に近いかもしれない。
 

・ ワークショップのアプローチ

ここでツールではないがワークショップのアプローチについても確認しておきたい。ワークショップは「参加者同士の協働によって新たなナレッジが生まれる手法」であり、まさにSECIモデルにおける「結合化」を実現することができる。またワークショップのプログラムによっては深く自分の暗黙知を探究するアクティビティが組み込まれている場合もあるので「結合化」と「内面化」を行き来することができるのがワークショップである。
 
次回からはいよいよ4つのプロセスをひとつづつ解説していきたいと思う。

ナレッジマネジメントとは

前回グループウェアの機能を、「フロー/ストック」「集団/個人」という軸で整理してみた。
その上でグループウェアは「集団の中で発生する個人の作業を効率的に行うための機能」であり、ナレッジマネジメントを実現ツールにはなりえていないと考えている。
では、ナレッジマネジメントとはいったいどのようなものであるのか?

ナレッジマネジメントとは

まずはwikipediaの内容を引用したい。
ナレッジマネジメント(英語: knowledge management)とは、企業経営における管理領域のひとつ。生産管理、販売管理(マーケティング)、財務管理、人的資源管理、情報管理に続く第6の管理領域。個人のもつ暗黙知形式知に変換することにより、知識の共有化、明確化を図り、作業の効率化や新発見を容易にしようとする企業マネジメント上の手法。組織によって創造される知識は集合知と呼ばれ、そのマネジメント手法に注目が集まっている。
マイケル・ポランニーの著書The Tacit Dimension(1967 ISBN 9780226672984 『暗黙知の次元』)に一つの端を発するアイデアだが、情報技術の進展、特にインターネットと人工知能技術の発展によって、情報工学経営学の対象となった。

ナレッジマネジメント - Wikipedia

恐らくここで強調されているのは「個人のもつ暗黙知形式知に変換すること」だろう。ナレッジマネジメントはイコール「情報共有」として語られることも多く、「情報共有」は「暗黙知形式知に変換する」ことと捉えられている。具体的には、マニュアルを整備したり、意思決定のプロセスとその情報を明確に文書化し共有すること、などである。

しかしながらこのブログで取り上げるナレッジマネジメントは、野中郁次郎氏の「知識創造企業」を参考にし、単なる「暗黙知形式知」だけではなく「暗黙知形式知」及びそのサイクルとして解説していきたい。このサイクルは「知識創造企業」の中で「SCEIモデル(セキモデル)」として提唱されている。

SECIモデルとは

改めてwikipediaを引用すると
「個人の知識を組織的に共有し、より高次の知識を生み出す」ということを主眼に置いたナレッジマネジメントを実現する場合、そのフレームワークとして以下の4段階のプロセスが提示されている。このプロセスは、各段階の英語名称の頭文字をとって“SECI(セキ)プロセス”、あるいは単に“SECI(セキ)”と呼ばれる。これは野中郁次郎一橋大学 名誉教授)と竹内弘高(ハーバード大学ビジネススクール 教授、一橋大学 名誉教授)が執筆したThe Knowledge Creating Company(『知識創造企業』梅本勝博訳、東洋経済新報社)において、提唱された。 知識とは「正当化された真なる信念 (Justified true belief)」であり、個人と個人の相互作用、あるいは組織と組織の相互作用により、ダイナミックに変化・深化・進化していくものであるという考えの下に構築されている。
- 共同化(Socialization)とは、組織内の個人、または小グループでの暗黙知共有、およびそれを基にした新たな暗黙知の創造である。
- 表出化(Externalization)とは、各個人、小グループが有する暗黙知形式知として洗い出すこと。
- 結合化(Combination)とは、洗い出された形式知を組み合わせ、それを基に新たな知識を創造することである。
- 内面化(Internalization)とは、新たに創造された知識を組織に広め、新たな暗黙知として習得することである。
とある。

 SECI(Socialization, Externalization, Combination, Internalization)という4つのプロセスについては今後このブログで一つ一つ詳細に解説していきたいと考えているが、まずはこの4つのプロセスが前回の「フロー/ストック」「集団/個人」という軸にマッピングするとどのようになるかを示したい。

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 SECIモデルの4つのプロセスは基本的に個人ではなく集団(青い斜線部分)で実施されるものである。 その上で、比較的集団で実施するプロセス(S,E)を上側、個人で実施するプロセス(C、I)を下側に記載し、SECIモデルのサイクルを表現した。
 
一般的に言われる情報共有作業である「マニュアル作成」や「議事録共有」は、S→Eのプロセスとしてみることができる。(「マニュアルはストックでは?」という疑問があるかもしれないが、共同化と内面化を経てようやくナレッジが”ストック”になるとイメージしてほしい。)
 このようにSECIモデルが提唱される前は、「ナレッジは熟達者から、形式知であるマニュアルを経て、未熟者に伝達される」という”一方通行の情報共有モデル”が一般的であった。しかしこのSECIモデルでは、熟達者との共同化を経て、ノウハウ形式知として表出化し、その形式知が集まって結合化し新しい知が創造され、さらにそれを個人に内面化するというサイクルを提唱したことが非常に画期的であるといえる。
 
次回以降は、4つのプロセスについてひとつづつ、具体的な事例を含めて紹介していきたい。
 
 
 
 
 

グループウェアとは

前回ナレッジマネジメントとの出会いについて書いたが、最近はナレッジマネジメントという言葉自体もあまり聞かなくなってしまった。いわゆるバズワードとして一時期流行ったが、その後すぐに下火になってしまったと記憶している。
 そんなナレッジマネジメントについて深掘りする前に、ナレッジマネジメントと一緒に語られることが多いグループウェアについて、今回は書いてみたい。
  

グループウェアとは 

wikipediaには

グループウェア(Groupware またはCollaborative software)とは、企業など組織内のコンピュータネットワークを活用した情報共有のためのシステムソフトウェアである。ネットワークに接続されたコンピュータ(のユーザー)同士で情報の交換や共有、またスケジュール管理等の業務に利用される様々な機能を通じて、業務の効率化を目指したものである。様々な機能が一つのシステムに統合されており、それらが有機的に結合しながらユーザにサービスを提供する。
とある。
具体的な製品名で言うなら、IBM(Lotus) Notes、Microsoft Office365(Sharepoint)、サイボウズ Office、Google G Suiteなどがそれにあたる。
 

グループウェアの機能マッピング

wikipediaにも記載されているグループウェアの代表的な機能を「フロー/ストック」「集団/個人」の軸でマッピングしたものが以下の図である。

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この図から分かるように、グループウェアは集団で利用するツールであるが、ほとんどの機能は「集団の中で発生する個人の作業を効率的に行うための機能」なのである。
 
一方で、情報共有とほぼ同義で扱われるナレッジマネジメントであるが実は「知識創造」という意味合いもあり、実はこの「知識創造」こそが最大のメリットであり、情報共有の最大の目的である。
 
今後はこのナレッジマネジメント=知識創造を掘り下げていく。
 
 
 

ナレッジマネジメントに興味をもったきっかけ

 

Accessでデータベースの仕組みを学ぶ

社会人2年目頃だったか、Accessの話私が入社2年目頃に、社内の紙業務をAccessを使って電子化するという簡単なシステム開発を任された。

内容的には本当に簡単で「現場からの申請受付」「承認」「集計レポートレポート」を出すというものだったと思う。
その頃はまだすべてのPCがインターネットには接続されておらず、検索もYahooなどのポータルサイトからディレクトリ型で実施していた。

その為、Accessの機能やVBAで分からないことがあると、マニュアルの該当箇所を何度も何度も読み返しては、試行錯誤の連続であった。

システムの開発にはものすごい時間がかかったが、そのおかげでデータベースの構造をゼロから勉強し身に付けることができた。

Excelの仕様にハマる

同じころ、Excelを使った管理表も作っていたのだが、そこでExcelのROUND関数による四捨五入の仕様を理解しておらず、どうしても計算が合わないという泥沼にはまったことがあった。

この時も、マニュアルを参照しながら対応していたが、一見正しく処理で来ているのでそれがExcelの仕様であると気づくまでには相当の時間を費やしてしまった。そのおかげで、Excelの関数の仕様のクセを学んだ。

この時は、最終的に社内で「四捨五入関数」を自作した方が居たので、その方法を拝借した。

2つのできごとの共通点と相違点

どちらも「時間を費やし、学びを得る」という点では共通しているが、後者の場合何かしっくりこない。

Excelの仕様に対して、私は時間をかけて悩むべきだったのであろうか?それで得た「Excel関数の仕様のクセ」の価値はどれほどだったのだろうか?

社内で「四捨五入関数」を自作した人も、同じようにExcel関数の仕様で悩んだ結果の対応だったようだ。

ナレッジマネジメントプロジェクトへの参画

このような出来事を幾度かあった時、社内で「ナレッジマネジメントプロジェクト」なるものが発足した。それまでナレッジマネジメントという言葉は知らなかったが、「社内の情報共有によって効率的に仕事をする」ことが目的ということで事務局にお願いして参画させていただいた。


自分が苦労したというのもあり、このような苦労はしなくて済むならしたくない、後輩ができた時にも苦労させたくないというのが大きな動機だったと記憶している。


これが、私とナレッジマネジメントの出会いである。